香港のクラフトビアバー情報(2019/11)

はじめに:ブリューパブは(ほぼ)ない

面積の割にブルワリーが多い印象を受ける香港だが、残念なことになぜか尽くブリューパブがなかった。一部、工場見学や試飲を行っているところもあるようだが、場所が悪かったり日時が限られてたりするので、結局行かずじまいであった。

以上の理由で、この記事では実際に行ったいくつかのビアバーとボトルショップの情報をまとめる。

 

TAP: The Ale Project

香港島の繁華街、旺角にあるビアバー。18tap繋がっており、そのうち10tapが香港国内のクラフトビールで、残りがハードサイダーおよび輸入ビールに割り当てられていた。香港のビールは Young Master を推しているようで7tapもあり、残りに Heroes と Carbon Brews のビールが繋がっていた。輸入ビールの傾向はあまり分からなかったが、ニュージーランドのブリューワリー(8 Wired, Garage Project)が3つも繋がっていたのが印象に残っている。一応ボトルビールも15種類ほどあったが、概ね6000円程度のものが多く、1,2人で飲みに行った時にはちょっと高くて選択肢に入らないであろう。

ビールのサイズは 0.2, 0.4, 2.0 L の3つがあり、小さいサイズがあるので比較的色々試せるのがとても良かった。有名店のようでかなり混みがちなので、行くタイミングには気をつけたほうが良さそう。

 

TAP: The Ale Project (The Mills)

上記の店の2号店のようだが、かなり中心部から離れている場所にあり、なぜここに作ったのかは謎。19tap繋がっており、そのうち12tapが香港国内のクラフトビールで、残りが輸入ビールに割り当てられていた。ビールの傾向は旺角の店と同様でYoung Masterが圧倒的に多かった。こちらはボトルビールが割と豊富で、特に Heroes と Carbon の缶や瓶が割と普通の値段で置いていた。店で飲むと少し価格が上乗せされるが、選択肢が増えるのは嬉しく、また、持ち帰りというかお土産として買うのにも便利。グラスなどのグッズも販売している。

ビールのサイズや値段は基本的には旺角の店と同じだが、立地のせいか割と空いており、また敷地面積も広いのでゆっくり飲むことが出来る。

ここで買うことが出来た少量生産の貴重なスタウト(HHRBAIMSwCN&V (2nd Anniversary Beer) - Heroes Beer Co. - Untappd)はお土産として持ち帰ったビールの中で最も美味しかった。

 

The Madhouse Taproom | Craft Beer | 手工啤酒專門店
旺角にある輸入ビール多めのビアバー。およそ20tapほど繋がっており、エール、ラガー、サワー、強めの黒ビールやサイダーまで幅広く揃えている。タップの上に大きなディスプレイでメニューを表示しているが、よく見るとそれぞれの上の部分に明るめから暗めの緑色が振り分けられており、それで値段が変わる。全体的にやや高めの値段設定ではあったが、ビールがビールなだけに妥当の範囲内。

訪ねたときの店員さんはとても気さくで、日本旅行もしているようで、日本と香港のビアバーについて色々情報交換させて頂いた。

香港内のビールに拘らず、美味しいビールが飲みたければここがベストであろう。

 

Hoppy Junction

香港島、金鐘站か湾仔站から少し歩いたところにあるビアバー。背が高くがっしりした体型ながらも優しさ溢れる店主が印象的な店であった。香港国内のクラフトビールを14tap提供しており、Lion Rock, Gweilo, Carbon Brews, Heroes, Young Masterなど幅広いブリューワリーのやや定番目の銘柄を揃えていた。店主の方は好みのビールを提供しようと多分に話かけてくれ、こっちの好みを尋ねた上で、それぞれのビールの特徴などを丁寧に説明してくれた。

提供サイズは330mlと473mlの二種類で、それぞれおよそ900円、1150円程度と香港のビアバーではごくごく標準的な値段。

気を張らずにちょっと美味しいビールでも飲もうかなという時に行きたい。

 

The Roundhouse - BBQ + Beer

香港駅からエスカレーターを駆使して坂を登った先にあるビアバーとBBQの店。どうしても強めの黒ビールが飲みたくなって、Choco Rainforest - Carbon Brews - Untappdを飲むためだけに訪問した。行ってはいないが、別の場所に姉妹店があるようである。

国内、海外比は8:10程度と、海外がやや多めで18tapあり、ボトルも数種類だけ用意されていた。なぜか値段の表示がなくやや困惑するのだが、(一杯だけ飲んだ結果)普通の値段設定と感じた。また場所も時間も悪くなかったはずだが、なぜか店はガラ空きでそこもやや不安になった。

全体的に可もなく不可もなくといった印象で、ご飯次第でまた評価が変わると思う。

 

クラフティッシーモ 上環

駅は違うが、これまた上環站から坂を登った先にあるお店で、こちらはビアバー兼ボトルショップ。ドラフトは国内6種類程度しかないが、代わりにたくさんのボトルがあって色々目移りするのが楽しい。価格はものによって様々で、国内のボトルは比較的安くまた概ね冷蔵庫に入っているので、その場で飲みやすい。席は店の外に用意されており、ベンチが3個程度に複数人で囲んで座れるエリアが一箇所といった、あまり大きくない店構え。

筆者は行っていないのだが、近くにサワー系を多く出すBlue Supremeという店があるので、こちらと合わせて訪ねると良いかもしれない。

 

Kowloon Taproom

尖沙咀にあるクラフトビールは香港国内のもの限定のお店。18tapほどあり、国内のブリューワリーの定番系が並び、サイズも12oz, 16ozでそれぞれおよそ900円、1150円程度と、ビールについては先に紹介したHoppy Junctionと似ている感じがある。ただし、こちらの店は前面が開放されている店構えで、また店内は薄暗く都会感の強い印象があり、雰囲気としては全く似ていない。

尖沙咀は何かと寄ることが多い場所なので、使い勝手の良さが嬉しい。

 

99 Bottles

香港駅から坂を登ったところにある立ち飲みのビアバー。名前の通り、ボトルと缶がたくさん並んでおり、主にそれらを楽しむ店である。ドラフトもあるにはあったが、たしか大手のビールばかりだった記憶がある。国内のブリューワリーが概ね揃っており、色々と選ぶ楽しさはあるが、如何せん定番が多い割に開栓料なのかやや高く、個人的にはあまり好きな営業形態ではなかった。店も狭く、常連客がさっと楽しんでいくような店と見受けた。人によって印象は異なるはずなので、ちょっとたくさん並んだビールを眺めに行ってみることをお勧めする。

 

香港ブリュークラフト 

 香港駅から坂を登る途中にあるお店。非常に見つけにくいのだが、ビルの南東面の小さな入口からエレベータを登るとたどり着くことが出来る。こちらは、ビアバーでは無く、ボトルショップであり、また自家醸造用の材料や道具を売っているお店である。自家醸造の講習も行っているようで色々と面白い。

ビールは海外のものが多めに置いてあるが、やや高めのものが多く、香港国内のビアギーク用の店のような印象。ただし、そのおかげか、国内ビールの貴重なボトルも多めに置いてあり、お土産ビールを買うにもかなりおすすめな店である。

小さい店ながらもビールがたくさん詰まっており、訪問を強くおすすめする。

 

 

以上が自分が実際に訪ねたお店全てであるが、ビアバー、ボトルショップともにまだまだたくさんあり、主なものすら回りきることは出来なかった。旅行期間がデモの時期と重なってしまったことで日程的、また時間的な融通が効かなかったのが本当に残念である。

狭いながらもクラフトビールがたくさんあり、また樽熟成のスタウトやフルーツサワーなどが意外と作られていて、香港は日本よりクラフトビールが進んでいる印象があった。ぜひここで紹介した店への再訪と新たな店の開拓をしたい。