沖縄のクラフトビール情報(2023/03)

はじめに:黎明期かつ発展途上、しかし楽しい

顧客数や流通事情など、本土に比較して沖縄は不利を背負っており、クラフトビールについては本土に比較するとまだまだ発展途上といえる段階であろう。

話に聞くには、沖縄は、米やパンなどが何故か本土に比較して味が劣るという言説もある。しかしながら、各地域が重視もしくは探究する方向性の違いもあるであろうし、また最近では沖縄のパン屋の質も大きく向上しているとの話も聞いた(本土出身者がやっているという話も)。

クラフトビールについてどうであるかは定かではないが、数人の醸造家の話を聞いた限りでは、始まったばかりながらも各ブリュワリーはそれぞれある程度固まった指針を持っているようであった。

正直に言えば、本土の方がより美味しいビールを見つけることは簡単であると思う。しかしそれは日本に対して、イギリスやドイツやアメリカを語るのと同じで、単純に時や場所を選ばない美味しさを求めるのであれば、それは評価の高いビールを取り寄せて家で飲めば良い。各醸造所が居を構える場所において、顧客や生産者の都合都合に合わせた、その土地のビールというものを楽しむ、そういった趣を感じることが良いのではないかと思う。

 

那覇

ウォルフブロイ(WOLFBRAU)

首里城近くにあるブリューパブ。最寄りの儀保駅からは少し上り坂になっている。

ドイツ系のビールを製造販売しており、アルトやレッドエールを飲んだ限りでは体に染み入るような柔らかさの美味しいビールであった。

 

 

浮島ブルーイング

那覇観光客の溜まり場、国際通り牧志公設市場近くにあるタップルーム醸造施設はどこにあるのだろう。

ビールは、そこそこ、発展途上という印象。内装がおしゃれで、フードも大人な感じ。デートとかには良いのだろう。

 

かねひでクラフトブルワリー

旭橋駅と壺川駅の間あたりにあるブリューパブ。ビルや商業施設が並ぶ街の一角にあり、店内は非常に狭く、店外のテラス席もあるようだった。

ビールはかなり気に入った。大きめの企業が最近始めた一事業のようで、正直期待せず訪れたのだが、ベーシックなラインアップがそれぞれきちんと作られている印象で、非常に良かった。中でもやや汗ばみながら最初に飲んだヴァイツェンはとても爽快で記憶に残っている。

おすすめ。

 

コザ麦酒工房 那覇久茂地店

国際通りの北側にあるタップルーム。コザ(沖縄市)の方にブリューパブがあるらしい。

ここではビールは変わり種1種しか飲んでいないため、味についてはコメントが出来ない。ただし、ここで食べたジャークチマグー(おそらく豚足を煮て揚げたもの)は中がとろとろで、揚げ物として最高の味わいであった。

 

 

コザ(沖縄市

 

Cliff Beer

おそらく当記事で紹介する中で最もアクセスの悪いブリュワリー。自分が訪ねた時はタップでの提供はなく、瓶ビールを販売しており、外の席で飲んでもいいよという感じであった。

事前調査ではウォルフブロイとここが沖縄のクラフトビールとしては特に有名という印象を受けていた。

ビールは副原料を色々使っているものが多いようで、沖縄で親しまれている月桃の葉などの野草を使ったセゾンなどがあり、最も沖縄らしさが強かった。正直に言うと自分の好みとは合わず、アクセスの悪さや瓶での提供などを考慮すると、わざわざ訪れずとも、市中のビアバーなどで飲めばいいかなと思ってしまった。

 

Fill brewing

コザの繁華街を練り歩いている時に偶然見つけたブリューパブ。訪れた時は醸造開始前であったが、2023/11時点ではどうやら既に醸造を始めており、オンラインストアで購入もできるようである。

店主の方は、見た目はやや怖目ではあるものの、話すと非常に感じの良い方で、醸造開始前ではあったが、ビールの話をしながらビールを飲むという点では非常に楽しい所であった。次の機会にまた訪れるのが楽しみである。

 

 

名護

ドルフィンズビアガーデン

名護のやや外れにある、酒屋に併設されたブリューパブ。1階でビールを購入後、螺旋階段で上がった屋上にはビアガーデンがあり、時間を合わせれば夕日を眺めることが出来る。

ビールは訪問時は三種類のみで、ペールエールIPA、ポーターがあった。当時醸造開始直後くらいであったと思うが、どのビールも雑味なく、マイナス点が見当たらなかった。個人的にはペールエールが最も好みで、ペットボトル封入で自宅まで持ち帰るなどした。次点のポーターがもう少し甘かったらと思ったら、店主の方も、味見段階ではもう少し黒糖由来の甘みが残っていたと仰っていた。

今記事内で最も那覇から遠く訪れる機会が少ない場所ではあるが、名護の街は、観光客が溢れる那覇、米軍兵が夜な夜な騒ぐコザなどと違い、地域の活気が(未だ)残る良い場所であった。この記事を目にした人には、ここのビールを理由の一つにし、是非一度訪れて見て欲しい。

 

終わりに

訪問からはや8ヶ月程経ち、記憶も薄まりながらの記事であるため、やや情報として古くなってしまったが、あくまで個人の備忘録なので、まぁいいだろう。

最初に書いたように、純粋に味のみなら沖縄のクラフトビールより美味しいビールはいくらでもあるだろう。しかしながら、旅の一つの楽しみには十分に値する。なにより執筆中、何度もまた行きたいなと思ってしまった。